膝の変性疾患は、関節が何らかの要因で変性し、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。特に多くの患者が悩んでいるのが、変形性膝関節症です。
変形性膝関節症は、加齢や膝関節の過剰な使用、または外傷によって膝の関節が変性する状態です。加齢に伴うケースが多く、高齢者ほど発症リスクが高まります。特に中高年の女性に多く、肥満も要因として膝に過度な負担をかけ、軟骨が摩耗しやすいため、発症のリスクが高いです。
変形性膝関節症と似た症状を持つ疾患には、リウマチ性膝関節炎や化膿性膝関節炎、痛風性膝関節炎、大腿骨内顆骨壊死症などがあります。これらの病気と区別するためにも、症状が見られたら早めの受診が重要です。
発症のメカニズムとしては、膝関節の軟骨が摩耗してすり減ることから始まります。進行すると骨同士が擦れ合い、膝の骨が変形し、膝の可動域が狭まり、歩行が困難になるとともに強い痛みが伴うようになります。この疾患は、多くの場合膝関節の内側で発症します。
動作の開始時に痛みが生じることです。歩き始めや座っていた後の立ち上がり、階段を下りる際などが特に痛みを感じやすい場面ですが、動作を続けると痛みが和らぐこともあります。しかし、病状が進むと歩行時にも痛みが続き、膝の可動域がさらに制限され、正座やしゃがむ動作が困難になります。さらに、夜間安静時にも痛みが現れることがあります。
治療法は、保存療法と手術療法に大別されます。保存療法では、消炎鎮痛薬の内服や外用薬を用いて痛みを軽減し、サポーターで膝を支えます。症状が改善しない場合、ヒアルロン酸注射が行われることがあります。また、筋力強化訓練により、関節への負担を軽減することも有効です。
保存療法で改善が見られない場合には、手術療法が検討されます。関節鏡視下手術や骨切り術、人工関節置換術などが代表的な手術法です。